ブランド関連情報2019年 Vo.2
こんにちは!コラム担当の松井です。今回は、お客様や自社で実践している際に、よく直面する課題と対策についてまとめていきたいと思います。様々な課題から10個に絞って紹介させて頂きます。予め把握しておくことで行動も変わってくると思いますので、興味をもって頂いた方は是非ご一読下さい。 ※比較的小規模の中小企業ブランディングを対象とした内容です。
ブランディングに対するイメージとして、まだまだ中小企業(特にBtoB)には関係の薄いものという認識が多いと感じています。しかし年々、書籍やコンテンツも充実してきておりビジネスシーン全体では重要度が増していると感じています。
現場で耳にする意見
また、ブランディングに重要性を感じる企業の傾向として、「創業期」「成長期」「安定期」「衰退(変革)期」などの大きな節目に感じることが多いと感じています。
企業フェーズによっても関心ポイントが異なる(一例)
こういった背景を理解していくと、中小企業におけるブランディングの重要性を高める方法が見えてきます。
【企業軸】企業の規模や業態(BtoBなど)に関係なく必要なものであること。また、予算・体力がなくても実践できることが多いこと等を伝える。どのような効果がありどう進めればよいかを伝えていくことにより、中小企業においても重要なものだと考えてもらう。 【時間軸】いつから取り組むべきか、今からできることは何かを一緒に考える。それにより「いつかやろう」から「今からでも出来る」に変えていく。
ブランディングを行うために予算をもうけている中小企業は少ないと感じています。年間の広告費や採用費などは明確にあっても、別途ブランディングに割く予算がないというのは、よくあるのではないでしょうか。場合によっては、一部広告を止めたり、内部の資産を切り崩して行う必要があり、非常に大きい壁だと感じています。
今行っている広告活動や採用活動において、ブランドが明確になっていない状態で行っているとしたら、トレンドに合わせた場当たり的な施策になっている可能性もあります。それは中長期的な活動をした際に蓄積するブランド資産を著しく失っている可能性もあります。 投資対効果を上げるために、まず投資すべきなのが「ブランド」であることを伝える必要があると考えています。(広告・採用にかかる費用を一部寄せる)
いくつか考えられる対策として、①コストを圧縮(提案・サービス)と組み合わせて予算を捻出する。②全体施策を2ヵ年以上に分け、年間予算を分割する。③教育による自走体制を構築する(後述有り)等が考えられます。
ある程度大きい企業には、「広報・PR担当」「ブランドマネージャー」「Web担当」などがいる場合が多いですが、中小企業では該当する担当者がいないことも多いと実感しています。そういった場合は、「総務人事」などが兼任して様々な業務の一環として行っていることも多いです。 いざ「ブランディングをやろう」となっても代表以外の推進役がいないという課題が発生してしまいます…。
人と予算が足りないという状況においては「ブランドの教育」が双方に有効であると考えています。未経験、専門職種でなくても問題ありません。年々教育コンテンツも充実してきており、具体的な手法や考え方を学べば、予算(リソース)が無くても実行・継続できることが非常に多いです。
では、誰に頼めばよいのか…。課題が曖昧であることから、誰(どの企業)にお願いしたら良いのか、判断がつかないこと多くあります。ブランドコンサルと言っても、クリエイティブに強い企業や、コンサルに強い企業、人事領域に強い企業など様々あります。手当たり次第に声をかけてもお互いに負荷がかかってしまいます。
まずは社内での協議やスタッフアンケートを行い、「重点課題」を定めていきましょう。商品なのか、営業なのか、採用なのか…など課題の内容を基に、各社のサービス内容や実績(得意領域)を見てから相談してみましょう。
ブランディングを行う場合、見積もりの精度によって金額が大きく異なります。また、大企業向けにブランディングを行っている企業と、中小企業向けに行っている企業とでも大きく金額差があります。こういった背景により、相見積もりをとっても、違いが大きすぎて判断が出来ないことがあります。 先ほどの話も踏まえると、「自社でどこまでやるか」によっても費用は大きく異なります。
まずは自社(規模体や業種・課題感)にあった実績がある業者を探してみましょう。見積もりを取るまでに、何度かすり合わせをし、対応範囲や施策内容をある程度詰めてから見積もりを取ることで、金額のズレを少なくすることが出来ます。
ブランディングをする・ブランドコンサルを導入するなどの意思決定は企業の上層部で行うと思います。しかし、プロジェクト自体も意思決定者だけで進めてしまうと、実施中や実施後のスタッフのモチベーションが着いてこないことが多いと感じています。社内のブランド浸透にも時間がかかってしまい、混乱も発生しやすいと考えます。
ブランディングを進める際にスタッフからの意見を抽出し反映する「ボトムアップ型のブランディング」が有効だと考えています。取材やアンケートにスタッフを巻き込むだけでなく、研修・ワークショップにも参加して頂きます。これにより改めて自社や自身のことを考える機会をうみ、企業ブランドを少しでも「自分ごと化」することが出来ます。
(※)これは自社完結でブランディングを行う際に多い課題です。部門間の利害不一致や方針の違いからプロジェクトが鈍化してしまう場合があります。自社及び現場主体で行うブランディングは発言力や社内の政治に影響されてしまうことが多いと感じています。
社外からの意見を加えることで組織内のバイアスを弱くすることができます。正解が見えづらいものだからこそ、反対意見が出てきた際に明確なロジックを伝える必要があります。また対立する意見をまとめるためにも、組織間・事業間をつなぐブランドの戦略は重要だと考えています。
ブランディングの構築プロジェクト後に、浸透フェーズに移り代表から何度もメッセージングをしたとしても浸透が進まないことがあります…。「伝えている」という事実からブランディングをしている実感もあるため、浸透していないことに気づきずらい状態でもあります。
代表だけではなく「組織の中間層」が自身の言葉でブランドを伝えられるようにならないと、現場との乖離が多きく進行してしまいます。全体の戦略やブランドを組織に落とすためには、各組織(事業)戦略との融合が必要になります。さらに人事制度との紐づけを考えることで、日々の目標設定や稼働内容にも浸透が進んでいきます。
最終的には、売り上げに繋げることを目的としていることが殆どだと思います。しかし、即効性を求めすぎてしまうと思ったような成果が出ないことの方が多いでしょう。結果「ブランディングをやったけど売り上げは上がらなかった…」という結論に至ることも多いのかと思います。
企業ブランディングにおいて最も重要なのは「インナーブランディング(インターナルブランディング)」だと言われています。それは、スタッフを通じてブランドが伝わり、スタッフによってブランドが毀損する(ことが多い)からになります。 つまり、売り上げにインパクトさせるには、まずインナーブランディングを行う必要があります。その上でSPツールや広告、プロダクトに反映していくことで、顧客にダイレクトに伝わるようになると考えています。
ブランド構築のプロジェクトによって定められたものが、効果が見えない等の理由から、すぐに変更されてしまう場合もあります…。また管理者が不明確になりやすく、形骸化することも多いと実感しています。
先ほどの兼任担当を指していますが、社内に「ブランドマネージャー」という役割を設ける必要があると考えています。ブランドを育てる・守るという観点から継続的に運用(マネジメント)を行う人物です。研修や資格などもあるので基礎を抑え、実践することで該当人物を育成します。 また、運用にあたりKGI / KPIを定め定期的に社内外にアンケート、ヒアリングを行うことで運用改善を実施します。(小規模の場合リサーチ会社など使わなくても自社完結できる)
中小企業でブランディングを実践しようとすると、様々な制約があることに気がつきます。人や予算、知識の壁などから思ったように進められないことも多く経験してきました…。
自社のブランディングも、「やるべきこと」と「できること」の間で毎日ももがいているのが現状です。僕と同じような経験をしている人のために、日々の経験や発見を綴っていこうと思います。
長文にお付き合い頂きありがとうございました。
コラム担当:松井
ブランドプランナー協会 理事 兼 講師 ブランドデザインを中心として活動しています。日々、実践し習得した知識・経験をお伝えしていきます。