ブランディングクロス 黒須 貴乃様

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日本のものづくりをブランディングで支えたい

受講生

ブランド・プランナー1級
中小企業専門ブランディングコンサルタント
ブランディングクロス代表
黒須 貴乃様
公式サイト:https://brandingkurosu.com/

これまでの経緯

広告代理店で感じた違和感から、本質的なブランディングに挑戦

私はこれまで、広告業界に長く携わってきました。
最初のキャリアは広告プロダクションのコピーライターから始まっています。日々クライアントの商品、サービスと向き合いながら丁寧に言語化していました。このプロセスは今の活動にも活かされています。

その後、広告代理店に転職し、CMプランナー、クリエイティブディレクターとキャリアを積んでいきました。当時、外資系広告代理店に勤務していたこともあり、広告を考える際にはブランドを起点にした広告づくりを大事にしてきましたが、日本の広告代理店に勤務先が変わると状況は一変。短期的な利潤のみを追求した広告制作を求められることも多く、自身の考えているブランディングとのギャップを感じた時期でもありました。

また、消費における購買意思決定権の約8割を女性が握っているにもかかわらず、女性視点が足りないことにも違和感を持ったのです。
そうした求められる事とやりたい事のギャップから、「もっとブランディングを突き詰めたい」「本当に企業や事業の成長に繋がるようなブランディングの支援をしたい」「女性視点を活かしたブランディングをしたい」と考えるようになっていきました。

また、当時の経験から大企業より中小企業にこそ、ブランディングが必要なのではと考えていました。多くの中小企業の場合、体制やリソース、予算などの問題から外部支援が必要だと感じるシーンが何度もあったからです。

「ブランディングクロス」として独立

このような経験から「小さい企業に対する、本質的なブランディング支援がしたい!」と決意し、「ブランディングクロス」として独立しました。

独立後、ブランディングの情報収集をする中で“ブランド・プランナー講座”を見つけました。内容を調べていくと、自分がやりたい事のイメージと近くとても興味を抱きました。ブランディングの概念だけでなく、実務に近い所まで網羅的な内容が受講の決め手となりました。

黒須様の事例(有限会社杉野商店様)

※レポートから一部の事例をご紹介します

伝統工芸品「つまみ細工かんざし」のブランド価値を整理し勝ち筋を示した

今回紹介するのは、かんざしなど髪飾りの製造、卸販売を行っている「有限会社杉野商店様」です。同社は創業75年の老舗かんざしメーカーとして事業を展開してきましたが、これからは卸売りではなく小売りの店舗出店や海外進出も視野にいれ活動をされていました。しかし、これまで培ってきた自社商品の強みや魅力をうまく言語化できておらず、活動の幅を広げていくためにも商品ブランディングに取り組んでいこうと決意されたのです。

商品ブランディングに取り組もうと考えた背景

  • 着物を着る習慣が急激に衰退しており、着物自体を自分で着られる人も少なくなっていた
  • 着物やかんざしをレンタルで済ますなど、メルカリなどで中古品を買う人も増えていた
  • 直接消費者と触れ合う機会がないため、消費者のニーズやインサイトが分からなかった
  • 家族経営のため外部からの客観視点が入りづらく専門家の必要性を感じていた

自社、市場ともに課題が多くあることを実感されていましたが、東京都の伝統工芸に指定されている「江戸つまみ細工かんざし」を守り伝えていきたいと考えておられました。そのために確固たるブランド価値の確立をしていきましょうという提案をしています。

初回プレゼンで感じたブランディングの醍醐味

初回プレゼンの日のことはよく覚えています。ヒアリングから、かんざしの機能的な価値の訴求に偏っている事が見えてきました。そこで、成人式のかんざしはハレの日に身に付ける大切なもの、日本の伝統工芸品として高い付加価値を持った特別なものとして、情緒的価値の訴求が重要であることをお伝えしましたが、一通りのご提案が終わった後、杉野商店の皆さんから拍手が起こったのです。
独立して初めてのブランディングの仕事―。「自分はこんな仕事がしたかったんだ!」という想いで胸が熱くなりました。

「あなたを花束にするかんざし」というコンセプトからブランドを再構築

プロジェクトを開始し、ブランド価値の整理から、ブランドコンセプト、ブランドストーリー、タグライン、ロゴデザインを策定していきました。そこから、商品リーフレットやカタログ、ホームページ、イベント企画などに発展させています。


※商品ブランドのコンセプト・メッセージ

商品のブランディングは、関わる人も大きく変えていった

プロジェクト後の変化としては以下があげられます。
若い女性向けの商品であるにもかかわらず「機能性価値」のみを訴求してきましたが、今回のブランディング分析で「情緒的価値」が大きく欠けていることに気づき、商品本来が持つブランド価値がより明確になりました。

また、ブランディング施策として親子で成人式用のつまみ細工かんざしを手作りするイベントや30代以上の大人向けかんざしの商品開発も視野に入れています。ブランドの価値を明確にした上で発信に繋げることでターゲットの拡張にも繋がりました。

社内でも変化が生まれています。ブランディングのプロセスを通じて社長をはじめ、従業員の意識が高まり、積極的にアイディアが出てくるようになりました。作家である社長の奥様も作品制作に対しより意欲的になり、海外のデザインコンペティションへの出品を目指しています。

また、一緒に商品ブランディングに取り組む中で、人も商品も成長していくのを目の当たりにしました。その後企業ブランディングのご相談も頂き、現在もブランディングの更なる強化に向けご支援を継続しています。

今後の目標

志ある方々と日本のブランドをアップデートしていきたい

最近では有限会社杉野商店様の実績もあり、伝統工芸品に関わるお仕事をいただく機会が増えていますが、お話を聞く度に感じるのは、皆さん同じ課題を持っているということです。職人としての技術力の高さはもちろんあるのですが、客観的な視点からブランド価値を整理することや、ターゲットに伝えていくことがとても苦手な方が多いのです。
一方で事業承継し若い世代の社長の場合は、ユニークな企画を考えるなどマーケティングに取り組まれているケースもあります。伝統工芸品という業界、市場自体を変えていきたいという志を持つ方もいらっしゃいます。

徐々に小さくなっている市場、新旧入り混じる価値観などもありとても難しい業界です。それでも私はブランディングの専門家として、外部の支援者として、日本の伝統や素晴らしい技術を社会に残していきたいと考えています。
志ある方々と共にブランディング支援を通じて日本ブランドをアップデートしていきます!

黒須 貴乃

中小企業専門ブランディングコンサルタント
ブランディングクロス代表
神奈川県鎌倉市生まれ。神奈川県在住

総合広告代理店ジェイウォルタートンプソンジャパン、電通グループのコピーライター、CMプランナー、クリエーティブ・ディレクターを経て、2023年中小企業専門のブランディングコンサルティング事務所 ブランディングクロス設立。広告クリエーティブの右脳とブランディング分析の左脳を併せ持つハイブリッドキャリアを持つ。

現在は、従業員30人以下の中小企業の『ブランド価値』を高める企業・商品ブランディングの専門家として活動。中小企業のブランド価値を200%引き出し、経営課題を解決する中小企業に特化したブランディング手法をベースに、企業及び商品、サービスのブランディング分析、クリエーティブ施策のディレクション、ブランディングセミナーなど、中小企業専門のブランディングコンサルタントとして総合コンサルティングを行っている。

公式サイト:https://brandingkurosu.com/
note:https://note.com/kurosu576/

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